日本酒三大銘醸地

兵庫の「灘」・京都の「伏見」・広島の「西条」を日本酒の三大銘醸地と呼んでいます。

灘・伏見・西条が日本酒の三大銘醸地と言われるようになった訳には、良質で豊富な水と出来上がった酒の輸送に便利な立地条件の二つの条件に適合していたという裏が有ります。

米や杜氏は遠くから手に入れることができますが、大量の仕込み水だけは遠くから運んでくることは不可能でした。

灘には六甲の伏流水の「宮水」が、伏見には大昔に湖だった京都盆地の大量の地下水が、西条には鉄分が少なくミネラルを含んだ竜王山の大量の伏流水が、それぞれ有ります。

もう一つの立地条件は、これが決定的な条件なのですが、日本酒の大量消費地は「江戸」でした。如何に大量の日本酒を安く速く「江戸」まで船で輸送することができるかということが、当時の「銘醸地」となる絶対条件でした。(西条だけは、明治時代に鉄道による東京方面への輸送が可能になり栄えた「銘醸地」です。)

新潟・秋田・北陸にも美味しい日本酒が沢山有りますが、「江戸」まで安価に速く運ぶ水路が無かったことが、「銘醸地」になれなかった原因です。

そのような訳で、「銘醸地」というのは、「美味しい日本酒が造られる場所」と言うより「大量の日本酒が造られる場所」という意味合いが強い言葉です。